院長ブログ

花粉症の飲み薬1(抗ヒスタミン薬)

[ 公開日: 2015/1/19 ]

「飲み薬は眠くなるのがイヤ」という方はよくおられますが、実際にすべての花粉症の薬が眠くなるということはありません。眠気が理論上はない薬もいくつかあります。飲み薬の種類や特徴について何度かに分け解説いたします。ただし具体的な薬の名前は製薬会社の方への配慮などからあまり書かないので、お聞きになりたい方は診察室でお聞きになってくださいね。

 

抗ヒスタミン薬

もっともよく処方される薬です。開発時期によって「第一世代」「第二世代」に大きく分けられています。くしゃみ、鼻水に効果が高いのが特徴です。鼻づまりはやや苦手なので、鼻づまりがひどくなりがちな方は別の薬(抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻薬など)と組み合わせてのむのがおススメです。

第一世代抗ヒスタミン薬」は相当昔に開発された薬です。効果は良いのですが、眠気、口の中の渇きなど副作用が大変多いために原則おすすめしません。それ以外にも、眼圧が高くなり緑内障を悪化させる、眠気の実感がなくても脳機能が低下し作業効率が落ちる、前立腺肥大を悪化させ年配男性の尿の出を悪化させる、乳児などでけいれんの確率を高める恐れが指摘すらされています。正直眠気を我慢して花粉症治療するのは時代遅れです。原則おすすめしたくない薬です。

最近処方される薬の多くは「第二世代抗ヒスタミン薬」とよばれるものです。様々な製薬会社から多くの薬が発売されています。第一世代に比べると、眠気や脳への影響が少ない薬が多いです。ただ、第二世代にもさまざまな薬があり、かなり特徴が違います。やや古めの薬は第一世代とさほど変わらない眠気を持っています。私がよく処方する薬は眠気の確率がさほど高くなく、しかも効果がそれなりに高い第二世代のなかでも比較的最近開発された薬です。そのような薬は主に3~5種類くらいです。どうしても眠くなりやす方ですとそれ以外の薬を使うこともありますが、それでも処方する薬はせいぜい10種以下です。

私のポリシーは「眠気などの副作用がない範囲で、最も効果が高い薬を探すこと」です。眠気については個人差がありますので、すべての方に同じ薬をお出しはしません。事前にお話を聞いたりして薬を選ぶようにしてはいますが、必ずうまくいくわけではありません。薬を飲んでいただいた上での感想を次回の診察でお聞きし、薬を変えることはよく行います。どうぞご希望は診察時にお話しください。あくまで最終的に満足いただけることを目指します。したがって最初のうちは1週間程度の処方をお願いし、選んだ薬が合っているとわかってから4週処方にしています。

ご理解いただきたい大事なことは「眠気さえなければよい」というものでないということです。当たり前のようにお感じになるかもしれませんが、「眠くならない薬をください」という患者さんは多いです。また実際に他院で「(効果はかなり弱いが)眠気の少ない薬」を処方受けている方も多いです。当然ですがそういう方は、「せっかく時間とお金をかけて受診したのに、大して楽にならなかった」という不満を持つ場合が多く、通院をやめたり通院先を変えることが多いのです。

抗ヒスタミン薬だけが花粉症の薬だけではなく、中~重症の方はほかの薬剤を組み合わせたり、マスクなどで花粉を避ける努力も大事です。しかし、「眠気などの副作用がない範囲で、最も効果が高い第二世代抗ヒスタミン薬を症状のない1月中・下旬~4・5月に飲むこと」は花粉症治療のスタンダードです。是非早いうちに宮前平トレイン耳鼻咽喉科にご相談ください。

 

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