院長ブログ

花粉症と喘息(ぜんそく)

[ 公開日: 2015/1/26 ]

早くも1月も下旬ですので、スギ花粉の本格シーズンはまさに目の前です。ここ数日、少しずつ花粉症対策のために受診される方が増えてきました。しかしまだ対策していない花粉症の方がたくさんいるとも思います。何度も繰り返していますが、スギ花粉症は1月中に治療を開始することで、シーズンを通してうんと楽に過ごすことができます。毎年スギ花粉症がひどいのにまだ治療を開始していない方は、是非数日中に受診してくださいね薬以外におススメのレーザー治療もまだ今なら間に合いますよ!

 

さて今日は花粉症と喘息(ぜんそく)についてお書きします。スギ花粉症の方を毎年たくさん診察していますと、花粉の季節に咳で悩む方をよくみかけます。それもかなりひどい咳で、「出だすとなかなか止まらない」「咳が苦しくて夜寝られない」という訴えが多いです。一般的には乾いた咳、夜に悪化することが多いです。

咳というとすぐに風邪を思い浮かべる患者さんが多いです。その結果他院を受診して風邪薬、咳止め、抗生剤などの処方をうけることになります。しかし、一向によくならないことが大変多いのです。なぜでしょう?

答えはその咳は「風邪」ではなく「喘息などのアレルギーの咳」のことが多いからです。残念ながら医者でもスギ花粉に関連し喘息が起きうることをご存じない場合が珍しくないのです。ましてや一般の方がご存じないのはますます無理もありません。しかし、せっかくこのブログを読んでいただいている皆様だけには特別に、「なぜスギ花粉に関連し喘息が起こるのか?」を詳しく解説しましょう。

喘息というのは何らかのアレルギー物質が気管支に入りアレルギー反応をおこし、気管支の粘膜で炎症がおこる病気です。スギ花粉の大きさはおよそ30~40μm(0.03~0.04mm)です。スギ花粉は気管支に入るには大きすぎて、喘息はおこさないというのが少し前までの医学常識だったのです。ではなぜに、スギ花粉の時期に喘息症状の方が増えるのでしょうか?それはスギ花粉の表面に「オービクル」というおよそ0.5~1μmの微粒子があって、それがはがれて気管支に入るからなのです。オービクルはスギ花粉と同様にアレルギー反応を起こしてしまうので、気管支でアレルギー反応が起きてしまうのです。

山間部ではたしかに多量の花粉が飛びますが、花粉は結構重いので山や畑の水分を含んだ土に着地すると再び飛び立つことは少ないです。しかしながら都市部では、乾いたアスファルトに花粉がたまることが多いため容易に何度も何度も飛び上がります。そうこうしている間に、人や車に繰り返し踏みつけられ、花粉が粉砕されオービクルなどが作られてしまうものと考えられています。このメカニズムが昔より花粉症で悩む方が増えていること、都市部で花粉症に悩む方が多いこと、都市部でスギ花粉の季節に喘息が増えることの大きな理由でしょう。

花粉の時期に咳が悪化する理由はオービクルが気管支や肺に侵入しアレルギー反応を起こすこと以外にも、

・花粉症による鼻づまりで口呼吸になり風邪をひきやすい。

・花粉症による鼻水がのどに流れ、のどや気管支を刺激する。

・粉砕された花粉の断片が気管支に侵入する

などの原因もあるともいわれています。

 

以上のことから花粉の時期に咳が多いこと、花粉が引き金で喘息が起きることは納得いただけたと思います。となれば治療は喘息を念頭に置いたものが効くことになります。まだ咳がない段階や軽症ですと、以前ご説明しました「抗ロイコトリエン薬」がおススメですまったく眠気のない薬ですし、咳以外に鼻づまりの効果が高いことも売りです。しかしながら、すでに夜も眠れないほどの咳になってしまっていたりすると、抗ロイコトリエン薬だけではおさまりません。そのような場合は吸入のステロイドや気管支拡張薬が有効なことが多いです。その二つが合わさった薬が最近は複数の製薬会社から出ているので、処方することが多いです。是非花粉症の時期に咳や喘息が悪化することがあることを知って、早め早めに対策を行いましょう!

「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘息の発作症状まで行ってしまいますと、点滴や入院治療が必要な場合がありますので、残念ながら当院では治療しきれず、大きな病院の呼吸器内科などへお願いすることになってしまいます。そうなる前に相談を!

 

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川崎市宮前区の「宮前平トレイン耳鼻咽喉科」は田園都市線 宮前平駅前の耳鼻科です。梶が谷、宮崎台、鷺沼、たまプラーザからも大変便利です。屋根付きの自転車置き場も完備しています。得意分野は花粉症・アレルギー性鼻炎、小児耳鼻咽喉科、中耳炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、かぜ・インフルエンザなど感染症治療、いびき・睡眠時無呼吸、補聴器、漢方治療などです。花粉症・アレルギー性鼻炎にはお薬の処方のほか、炭酸ガスレーザーによる治療、採血でのアレルギー検査なども行っております。

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