(同業者向け)新規開業を検討する医師へ
[ 公開日: 2016/2/15 ]
宮前区で新しいクリニックモールの計画があるようです。ここでの開業を検討されているDr.に読んでもらえればと思い、今日のブログは同業者向けです。
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クリニックの新規開業にあたり大事なのはなんといっても「場所」です。いくら腕や人柄の良い医師でも、求められていない場所で開業してもうまくいきません。実際開業しても閑古鳥が鳴いていたり、経営不振で閉院においこまれるクリニックも少なくない時代なのです。
クリニックの院長は医師であるのはもちろんのこと、経営もしなければなりません。しかし、医学部や大きな病院の勤務医をしていると実は経営について学ぶ場はほとんどありません。いざ開業しようと思うと、開業コンサルタントなどはいろんな開業地をすすめてきますが、開業を検討する医師はよくよく吟味しなければいけません。開業さえしてくれればコンサルタントは多額な手数料が手に入るので、必ずしも「医師にとってよい場所」でなくても入居をすすめてくるのです。また、物件を貸すオーナーにしても他業種よりもクリニックに貸すと家賃を相場より高くしたり、撤退リスクが少ないとして、誘致合戦が繰り広げられたりします。ドラックストアにとっては、メインはドラックストアの集客で調剤部門はあくまで副業ですから、処方箋枚数はほどほどでも困りません。つまり医師の都合ではなく、業者やオーナーの都合で、クリニックには適さない場所に医療モールが計画されてしまうのです。経営にあまり詳しくない医師はそれにまんまとのせられてしまうことがよくあるのです。
開業前には診療圏調査といって、平均でどのくらいの患者来院が期待できるかを机上で計算します。もちろんその通り来院いただける保証はありませんが、一つの目安として計算します。耳鼻科ですと1日あたり70~100人くらいは採算上必要です。これを超えているならば、開業場所として検討する価値があるでしょう。この数字が「内科33.4人、眼科70.0人、耳鼻科34.1人」などといって医師を募集しているところがありました。眼科の70.0人ならいざしらず、こんな数字で耳鼻科を開業するのはとってもハイリスクです。すくなくとも私なら絶対別の場所をさがします。1日に平均34人の来院者だとすれば、借金の返済どころか、家賃や人件費の支払もできないでしょう。よほど多額の自己資金があり、赤字を承知で社会貢献をという医師ならいざ知らず、借金をして開院してしまったならば、早晩閉院においこまれそうです。たとえ運転資金が2000万円あったとしても月200万円の赤字なら10か月しか存続できないのです。
もしそれでもチャレンジするというのでしたら、よほど周囲を調査すべきです。周辺に評判の悪い医師しかいなくて、住民の不満が大きい場合、新規開業医に患者さんが集中するケースはありますので。しかしながら、宮前区周辺は住民も医師もかなりレベルが高いですので、そんなことはなさそうですよ!
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