のどの病気
風邪などでのどの調子が悪くなったとき、耳鼻咽喉科と内科や小児科のどちらにかかれば良いのか迷う方もいるのかもしれません。しかしながら、のどを専門にしているのは内科や小児科ではなく耳鼻咽喉科だけです。単に耳鼻咽喉科医の数が少ないために内科や小児科の先生ものどを診ているにすぎません。のども鼻も耳鼻咽喉科だけが専門的に診断・治療ができる科です。是非当院にご相談ください。
主なのどの病気
急性上気道炎(風邪)
症状はのどの痛み、違和感、発熱、だるさなどです。鼻や咳症状があることも多いです。
実は風邪の原因の多くは細菌ではなくウイルスです。したがって抗菌薬(抗生剤)は効果がでないのです。しかしながら日本では風邪にも一律に抗菌薬(抗生剤)を処方なさる先生がかなり多く、世界から批判されています。なぜなら抗菌薬(抗生剤)を不要なのにのめば、耐性菌といって抗菌薬(抗生剤)が効きにくい菌が体にうまれてしまうのです。抗菌薬(抗生剤)を飲んだ後に、もし急性中耳炎や気管支炎、肺炎になってしまうと薬が効きにくい菌が原因になっているので簡単には良くならずに長引いたり、入院が必要になったりするのです。さらに不要なのに抗菌薬(抗生剤)を飲めば鼻やのどなどを守っている常在菌(多くは善玉の菌)が死んでしまうためにかえって風邪そのものも長引いたり悪化しますし、善玉の腸内細菌が死んでしまうために下痢を起こすことも多いです。
したがってウイルス性の風邪と診断した場合は、抗菌薬(抗生剤)は飲まずに、対処療法薬(鼻やのどの炎症を減らす薬、痰や鼻水を減らす薬、痛みや熱をおさえる薬など)での治療と、なにより安静が大事なのです。さらにいくつかの漢方は症状を和らげるだけでなく、病気を早く治す作用があることが分かっています。当院では風邪には漢方も積極的に併用するようにしています。
急性喉頭蓋炎
のどが激しくいたく、唾がのめない、水がのめないなどの症状がでます。息苦しいという症状がでることもありますが、これはかなり進行してからです。
のどのかなり奥の方にある喉頭蓋(こうとうがい)という部分が腫れることが原因です。しかし口をあけても喉頭蓋は見えません。診断にはファイバースコープや間接喉頭鏡(のどの奥をみる鏡)が必要なのです。つまり耳鼻咽喉科医が診ないとほとんどは見逃されるということです。実際この病気で年に何人か死亡するケースがありますが、その多くは最初に診たのは内科や小児科です。
この病気は急速に進行することがあり、場合によっては窒息し死亡することがあります。したがって激しいのどの痛みがある場合はファイバースコープ検査ができる耳鼻咽喉科を受診しきちんとした診断をうけることが大事です。飲み薬では改善しないことが珍しくありませんし、ともすれば死亡リスクのある病気です。もし急性喉頭蓋炎と診断した場合は入院治療ができる耳鼻咽喉科がある病院を紹介いたします。
急性扁桃炎
急性扁桃炎とは口蓋垂(こうがいすい:のどちんこ)の左右に一個ずつある口蓋扁桃に急性の炎症が起こる病気です。
風邪よりも症状(のどの痛み、発熱、悪寒戦慄、頭痛、全身倦怠)がより強いことが多いです。
なお急性扁桃炎を頻繁に繰り返す方がいらっしゃいます。これを反復性扁桃炎と言いますが、年間4~5回以上起こすようなら、症状が良くなった後に手術(扁桃摘出術)をお勧めします。その際は紹介いたします。
声がれ
のどの使い過ぎや風邪による一時的な声がれは心配無いのですが、長く続く場合や徐々に進行する場合などは、原因を特定することが必要です。ファイバースコープなどで診断いたします。
喉頭がん
喉頭がんは、高齢者に多く、特に喫煙経験のある方に多いです。
声門上部にできる「声門上がん」、声帯にできる「声門がん」、声門下部にできる「声門下がん」の3つに分けられ、症状はそれぞれ異なります。
声門上がん
異物感、いがらっぽさ、食べ物を飲み込むときに痛む、などの症状が見られます。声門がん
のどではいちばん多いがんで、初期症状は、声のかれです。食べ物を飲み込むときに、違和感をともなうこともあります。声門下がん
かなり進行するまで、自覚症状がありませんが、最初の症状は、声のかれです。
このようなときは耳鼻咽喉科にご相談ください
- 風邪をひいた
- のどの痛みがある
- 咳が続く
- のどの違和感がある
- 声がかれる
- のどにできものがある
- 味覚障害がある