🌸 ノーベル賞と制御性T細胞──舌下免疫療法で花粉症は変わる
[ 公開日: 2025/10/9 ]
春の花粉症や、一年を通じて悩ましいダニによるアレルギー性鼻炎。
くしゃみ・鼻水・目のかゆみは、免疫が“本当は悪くない花粉やダニ”を敵だと勘違いして攻撃するせいで起こります。
免疫は本来、細菌やウイルス・がん細胞といった**“本物の悪者”から体を守る仕組み**です。
でも無害な相手にまで攻撃してしまうと、自分の体が損をしてしまいます。──これがアレルギーです。
🛡 免疫の“ブレーキ役”
免疫には「攻撃する役(キラーT細胞)」「攻撃を指示する役(ヘルパーT細胞)」がありますが、それだけでは暴走を止められません。
そこで登場するのが 制御性T細胞(まあまあまあ細胞)=免疫の“ブレーキ役”。
「まあまあまあ、花粉は悪者じゃないから攻撃しなくていいよ」となだめて、暴走を抑えてくれるのです。
🏅 ノーベル賞とのつながり
この制御性T細胞を世界で初めて発見したのが、日本の坂口志文先生。
その功績が認められ、ノーベル賞を受賞しました。
つまり、花粉症を理解するカギとなる細胞が世界レベルで注目されているのです。

💊 舌下免疫療法と“ブレーキ細胞”
舌下免疫療法は、花粉やダニのエキスを毎日少しずつ体に慣らす治療です。
続けることで、制御性T細胞(まあまあまあ細胞)が増え、「もう攻撃しなくていい」と免疫が学習します。
日本では シダキュア®・ミティキュア®・アシテア® が認可されています。
👦 外来での小さな一幕
先日の外来で、小学生の患者さんが「はたらく細胞で制御性T細胞を見たよ!」と教えてくれました。
「どんな細胞?」と聞くと正しく説明できていたので「すごいね、正解!」と返しました。
そのうえで「今やっている舌下免疫で、この細胞が増えているんだよ」と伝えると、とても納得した様子でした。
✅ まとめ
制御性T細胞は免疫のブレーキ。ノーベル賞で注目されたこの細胞を育てるのが舌下免疫療法です。
免疫を根本から変える──それが当院でも行っている最新の治療です。