院長ブログ

【7月日帰り4回旅・第1弾】ハプニングなし!?完璧すぎて恐ろしい「松山スマート日帰り旅」の実証

[ 公開日: 2026/7/2 ]

みなさん、こんにちは。旅する耳鼻科医です😊

前回のブログで「7月に4回、日帰りで空を飛ぶ」と大見得を切りました。

その栄えある第1弾の目的地は、愛媛県・松山です。

「ホテル代をすべて食に全振りする」「朝一番の便で現地滞在時間を最大化する」という、私が提唱する『大人のスマート日帰り旅』の理論を完璧に証明するための旅――のはずでした。

しかし、今回の旅にはいつもと決定的に違う「裏ミッション」が存在していました。なんと、珍しく妻が同行することになったのです。

普段の私の旅といえば、ローカル線の過酷な乗り継ぎに命をかけたり、旅先で親指を負傷したり、豪雨で突発的にルート変更を余儀なくされるような「サバイバル弾丸旅」がデフォルト。しかし、今回は「絶対に失敗できないエスコート・ミッション」なのです。

ちなみに妻は「ブログに出たがらない主義」のため、今回は影武者のような登場になることをあらかじめお断りしておきます(笑)。

 

✈️ 朝4時半起床、エンジン全開で挑むエスコート・ミッション

当日は朝4時半に起床。しかし、そこはタイムマネジメントのプロ。眠気など1ミリもなく、頭は完全に冴え渡った状態で羽田6時50分発のJAL便に滑り込みました。

関東から関西にかけてはあいにくの雨模様でしたが、松山に近づくにつれて劇的に天候が回復。雲の切れ間から、瀬戸内海に浮かぶ美しい島々を機窓から見下ろすことができました。5分遅れの8時15分、エンジン全開のまま松山空港へ降り立ちました。

 

 

🏯 松山城ウォーキングと「お腹空かせ問診」

リムジンバスで市街地へ直行し、最初に向かったのは松山のシンボル・松山城(勝山)です。

なぜ朝っぱらから山の上の松山城を目指すのか。理由は二つあります。

一つ目は、四国が初めての妻を松山の美しいシンボルへ案内するため。そして二つ目は、11時に予約している極上ランチを、最高のコンディション(=ペコペコのお腹)で迎えるための「お腹空かせ問診」なのです。山の上とはいえ、中腹まではロープウェイで一気に上ることができ、そこから天守へと続くアップダウンを歩いて進みます。

ここ松山城は、お城自体の戦闘力がとにかく凄まじい。本丸を構成する壮大な高石垣は、最も高いところで17メートルを誇り、敵を翻弄するために複雑な屈曲を繰り返しています。さらに、山麓から山頂へ斜面を這うように築かれた「登り石垣」は、全国の現存十二天守でも松山城と彦根城にしか残っていない極めて貴重な遺構です。

進めば進むほど、「戸無門(となしもん)」というあえて扉を設けない門で敵を油断させ、死角から現れる隠し門で袋小路にするというエグい心理トラップが牙を剥きます。しっかり歩いて、計算通り胃袋の受け入れ準備は完了しました。

重要文化財に指定されている天守閣の内部は、江戸時代に再建された当時の姿をそのまま残す、日本にわずか12しか存在しない「現存十二天守」の一つ。何百年もの歴史を刻んできた急勾配の木造階段と、年季の入った骨太な梁や柱の温もりに圧倒されます。

天守閣からの素晴らしい眺望を楽しんでいると、遠くに「ロシア兵墓地」が見えました。日露戦争の際、日本で最初の捕虜収容所がここ松山に作られ、当時の市民が「捕虜は罪人ではない、祖国のために戦った人たちだ」と道後温泉への入浴を許可するなど、温かく人道的に迎えたという世界に誇れる歴史があります。墓碑がすべて故郷の「北」を向いているという配慮にも、深く唸らされました。

 

 

🍽️ 宿代を「食」に全振り──老舗フレンチ「門田」の1時間ダイヤ

11時ちょうど、街の中心部「大街道」のアーケード商店街からすぐの老舗フレンチ「門田(かどた)」の門を叩きます。これこそが日帰り旅の醍醐味、宿代をすべて注ぎ込んだ至高のランチタイムです。今回セレクトしたのは、お箸で気軽にいただけるフレンチの銘作コース。

【SHOKADO(しょうかどう)】4,400円(税込)

フランス料理を、地元愛媛県の伝統工芸である「砥部焼(とべやき)」の器に美しく盛り付けた特製コースです。砥部焼ならではの、ぽってりとした厚みのある白い風合いと、独特の深い藍色の絵付けが料理の美しさを劇的に引き立てます。

お箸で気取らずにいただけるスタイルが、お城を歩き疲れた体に心地よく染み渡ります。

Screenshot

私はフランス・ブルゴーニュのオーガニック・クラフトビール「ヴェズレー」と、瀬戸内海をイメージした美しいブルーのオレンジカクテル「瀬戸風」。妻はワインの渋みを紅茶エキスで再現したノンアルコールの名作「セレブレ」で乾杯。

素晴らしい料理を五感で堪能し、お店を出たのは12時ジャスト。1時間で完璧にフレンチのフルコースを収める、この極限のタイムマネジメントこそスマート旅の真骨頂です。

  

♨️ 『坊っちゃん』の生湯と、計算し尽くされた鉄瓶の一滴

お腹一杯になった後は、いよいよ旅の後半戦、道後温泉本館へ。

夏目漱石が名作『坊っちゃん』のなかで、松山の温泉と「上等」の部屋についてこう書き残した場所です。

おれはここへ来てから、毎日住田の温泉へ行く事に極めている。ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。せっかく来た者だから毎日はいってやろうという気で、晩飯前に運動かたがた出掛ける。

温泉は三階の新築で上等は浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む。その上に女が天目へ茶を載せて出す。おれはいつでも上等へはいった。

平日の木曜日ということもあり、幸運にも館内はガラガラ。完全に狙い通りです。おかげで、かつて坊っちゃんが惚れ込み、「いつでもはいった」という「3階個室」のチケットをノータイムで確保することができました。

驚いたことに、この歴史的建築の最上階にいるのは現在、我が家だけ。漱石すら成し得なかった「3階フロア丸ごと貸切」という最高のVIP待遇です。

道後のお湯は、pHが9前後の弱アルカリ性であるため、皮膚の古い角質を柔らかく落とし、お肌をすべすべにする効果があり、「美人の湯」と呼ばれています。溶存物質が少なく、刺激が少ない「単純温泉」なので、子供からお年寄りまで安心して入浴できる肌に優しい泉質です。

そして何より、全国でも極めて珍しい「一切の水を足さず、沸かしもしない」完全な源泉かけ流し。18本もの異なる温度の源泉を、職人技のような絶妙な比率でブレンドすることで、人が一番心地よいと感じる温度を作り出しているのだそうです。

ここで、温泉に90分フルで滞在する中で「奇跡」が起きました。

格調高い「霊の湯(たまのゆ)」の湯船に、まさかの私一人。誰もいないのをいいことに、作中の坊っちゃんよろしく、あの有名なシーンを令和の時代に完全再現して……みたくなる衝動を必死に抑え、心の中だけで激しく平泳ぎをしてやりました(笑)。

深さは立って乳の辺まであるから、運動のために、湯の中を泳ぐのはなかなか愉快だ。おれは人の居ないのを見済ましては十五畳の湯壺を泳ぎ巡まわって喜んでいた。

ちなみに、1階の広い「神の湯」には先客がもう一人いたため、そこでは大人のマナーを発揮して心の中でも静かに浸かったことを付け加えておきます。

湯上がりに、赤い漆器にのった坊っちゃん団子とお茶をいただきに、貸切状態の三階個室へと戻ります。そこにはさらなる感動が待っていました。愛媛の伝統工芸である砥部焼の茶碗が、最高峰の漆器である「輪島塗り」の天目台に載せられて運ばれてきたのです。

一口含んで、言葉を失いました。温度はあえて低め。しかし、ぬるいからこそ、お茶本来の濃厚な「旨味」と「甘み」が口いっぱいに広がり、鼻に抜ける香りが格違いに素晴らしい。これは間違いなく、低温でじっくりと時間をかけて淹れる最高級の「玉露」です。

驚くべきことに、お湯すらも電気ポットではなく、わざわざ「鉄瓶」で沸かしているとのこと。鉄瓶で白湯(さゆ)を育てることでカルキが抜け、角の取れたまろやかな水になり、それが最高級の茶葉のポテンシャルを極限まで引き出しているわけです。

見た目はただの透明なお湯なのに、実は無加温・無加水の奇跡的なブレンド。

出されたお茶はぬるいのに、実は鉄瓶のお湯で旨味だけを完璧に引き出した玉露。

目に見えない細部にこそ、命を懸けて手間暇を惜しまない。日本伝統の「引き算の美学」に、深く感動させられました。

その後、皇室専用の浴場「又新殿(ゆうしんでん)」を見学し、120年以上の歴史の中で一度も実際に使われたことがないという、ピカピカな「総漆(うるし)塗りの最高級トイレ(御厠)」を堪能。今治タオルのハンカチを吟味し、次なる目的地へと向かいました。

 

🍊 柑橘界のウルトラエリートを蛇口から2杯ハントする

そして、お約束の「蛇口からみかんジュース」の体験へ。

ここでも、大人のスマート旅の嗅覚が冴え渡ります。ズラリと並ぶ蛇口の前で、多くの観光客が「普通のやつでいいか」と手頃な定番を選び、あるいは価格に躊躇して素通りしていく中、私が狙いを定めたのは一択。1杯450円、小さいカップながらダントツ最高値の最新作『愛媛果試第48号』です。

「紅まどんな」と「甘平(かんぺい)」という柑橘界の2大巨頭を掛け合わせた、生まれたてのウルトラエリート。自分で蛇口から注ぐそのエキスは、もはや飲む宝石です。価値が分かる者だけが味わえる至高のご褒美を、最高のコンディションで一気に喉に流し込みました。

さらに、今回のエスコート・ミッションにおける私のチョイスに抜かりはありません。写真に並ぶもう1杯は、これまたやや高い部類(1杯320円)に君臨する、初夏の濃厚な名作『南津海(なつみ)』をハント。

贅沢な柑橘のコントラストが、乾いた喉に最高の「口福」をもたらしてくれます。松山のおもてなしカルチャーを、これでもかとテンポよく回収していきました。

  

🚃 【今週の鉄分】昭和の爆音モーターと、デパ地下の美しい白身魚

市内中心部に戻るために松山市駅へは道後温泉駅から路面電車です。駅前では、この日は運休日だった「坊っちゃん列車」が、静かに風景に旅情を添えていました。

そこに滑り込んできたのは、私の旅センサーを激しく刺激する、オレンジ色の旧型レトロ車両でした。

車内に乗り込むと、床下から豪快な重低音モーター音(ツリカケ音)が響き渡ります。妻との会話のボリュームを一段上げなければならないほどの爆音ですが、これがたまらない。新型車両への置き換えが進む中、この五感を揺さぶる昭和の音を聴けるのはそう長くはないでしょう。

 

そのまま、駅直結のいよてつ高島屋のデパ地下へパトロールに繰り出します。

鮮魚コーナーには、コチ、オコゼ、アコウなど、東京のスーパーではまずお目にかかれない瀬戸内夏の白身魚の「美しすぎる薄造り」が並んでおり、その圧倒的な透明感はまさに眼福でした。

  

🍱 空港でのグランドフィナーレ

リムジンバスで松山空港へ戻り、旅の締めくくりはやっぱりこれです。

出汁で炊き込んだホクホクの「松山鯛めし」と、生卵入りの特製タレにお刺身をくぐらせる「宇和島鯛めし」が一度に味わえる、狂気の「食べ比べ膳」。さらに、一切れが座布団のように分厚い「カツオのたたき」を豪快に平らげ、結果的にお腹いっぱい(笑)。

サクララウンジへ滑り込み、冷え冷えのポンジュースをグッと煽って全てのプログラムが終了しました。

  

✨ 普通の木曜日に潜むスマート旅の実証

フライトを待つラウンジで、ふと考えました。世間には「日帰り旅は慌ただしい」と言う方が一定数います。

だが、どうでしょう。今回の我々は、お城を歩き、優雅なフレンチを楽しみ、温泉に90分も入り、泳ぎ、買い物をして、蛇口から最高級ジュースを喜び、デパ地下をパトロールし、空港で鯛めしとカツオのフルコースを平らげました。それでいて、空港での時間はむしろ「余裕ありあり」なのです。

要は、タイムラインの設計と、平日の恩恵をフルに活かすスマートさがあるかどうかの違いなのです。

19時発のJAL440便。20時40分、四国の美しい夜景のフライトを終えて羽田空港へ定刻着。

トラブルもハプニングも一切ない、タイムラインの隙間を完璧に縫い上げた、恐ろしいほどスマートな一日。大切な同行者を完璧にエスコートしきった今回の松山編は、まさに我が「日帰り旅理論」の、これ以上ない完璧な実証編となったのです。【7月日帰り4回旅・第2弾】はいつも通りの一人旅で帯広空港に飛びます!

 

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