院長ブログ

【台湾鉄道旅①】第2話🚃台南は、歴史と匂いの街だった

[ 公開日: 2025/12/27 ]

~在来線で南へ、夜は“地元民の夜市”に混ざってみる~

 

🌅 朝の台北駅~今日は南へ、台南へ~

この日は、台鉄の特急列車にあたる「新自強号」で台南へ向かった。
台鉄とは、日本で言えばJR在来線にあたる「台湾鉄道」(現地では「台鉄」と呼ばれている)のこと。島を縦に貫く幹線を担う、旅の背骨のような存在だ。

車両はEMU3000。日本製の新型車両で、営業最高速度は時速130km。日本の在来線でも速い部類に入る、と言えばイメージが近いと思う。
実際に乗ってみると、車内は静かで揺れも少ない。発車後しばらくして落ち着くと、「移動そのものを楽しむ」余裕が生まれてくる。
ただ、座席に電源やUSBは見当たらなかった。モバイルバッテリーを2つ持ってきて正解だった。

台湾には、台湾版の新幹線にあたる高速鉄道(現地では「高鐵」と呼ばれている)もある。高鐵を使えば、台北から台南まではもっと短時間で着く。
ただ今回は、高鐵には乗らない。あえて台鉄を選び、距離を踏みながら南へ行きたかったからだ。

車窓には、海沿いに巨大な風力発電が並ぶ区間がある。日本ではなかなか見ないスケールで、つい見入ってしまう。
気づけば3時間弱。11時25分、列車は台南に到着した。

 

🌿 高速鉄道の速さとは違う~「距離を踏んで南へ来た」感じ~

早い移動は、それ自体が正義だ。
でも、早すぎる移動は、ときに「土地の手触り」を薄くしてしまう。

台鉄で南へ向かうと、都会の気配がゆっくりほどけ、平野が広がり、海が近づき、また都市が現れる。
その変化を眺めているうちに、いつの間にか自分の頭の中の速度も落ちてくる。台南は、そういう入り方をする街なのかもしれない。

 

🍞 台南の昼は、赤崁棺材板~名前のインパクトに反して、優しい味~

最初の目的地は「赤崁棺材板」。
厚切りトーストをくり抜き、中にシチューを詰めた料理だ。名前は「棺材=棺桶」に由来するらしいが、実物はどこかユーモラスで、妙に愛嬌がある。

軽食のつもりで頼んだが、意外とボリュームがある。紅茶と合わせると昼食として十分だった。
外の空気は暑く、店内の冷房がありがたい。旅先での「冷房のありがたさ」を、久しぶりに思い出した。

台南では、タクシーが地名だけでは通じないことが多い。Google Mapを見せてようやく到着、という場面が何度かあった。
運転手さんは無口で、愛想も控えめ。台北の都会的な便利さとは違う、南部の実感がじわっと来る。

 

🏰 安平へ~歴史の上に、今の暮らしが重なっている~

午後は安平エリアへ。
安平古堡の塔に登ると、北側に湿地帯が広がり、牡蠣棚が点々と見える。ここがオランダ東インド会社の拠点だった場所だと思うと、景色が単なる眺めではなくなる。

隣の寺院では参拝方法が分からず、とりあえず手を合わせた。
線香の匂い、赤い色彩、静かな熱気。観光地というより、「暮らしの信仰」がそこにある感じがした。

 

🌳 安平樹屋~これは台南にしかない景色~

安平樹屋は圧巻だった。
ガジュマルに覆われた建物跡。自然と人工物が絡み合い、時間が折り重なっているように見える。

朽ちていくはずのものが、別の形で残っている。
台南に来たなら、ここは外せない。そう素直に思わせる力があった。

 

🛍 安平老街~言葉が通じないのに買い物は成立する~

安平老街は、狭い通りに土産物店がぎゅっと並ぶ。
烏龍梅とマンゴーのドライフルーツを購入(2つで100台湾元(≒500円))。人気店では翻訳アプリを使っておすすめを聞いた。

英語も日本語もほぼ通じない。
それでも指差しと表情で、ちゃんと買い物になる。
この“通じなさ”が、台南の旅情になる。

 

🌙 夜は大東夜市~“地元民向け”の夜市に混ざってみる~

月曜開催の大東夜市。
広い駐車場に屋台が並ぶスタイルで、日本の縁日を大規模にしたような雰囲気だ。ここは観光客向けというより、地元の人たちが普段使いする夜市という空気が濃い。

屋台の油の匂い、鉄板の音、人の流れ。
観光地の整った感じとは違って、少し雑多で、その分だけ“生活”が近い。

まずは俠風烏龍(阿里山産高山烏龍茶)。80台湾元(≒400円)。
香りが高く、夜市の濃い食べ物を受け止めてくれる。

蚵仔煎(牡蠣オムレツ)は70台湾元(≒350円)。
日本のお好み焼きやもんじゃ焼きに近いが、甘めのソースが独特で、最初は戸惑うのに、気づくとちゃんと馴染んでくる。

臭豆腐も70台湾元(≒350円)。
匂いは強烈で、近づいた瞬間に「噂は本当だった」と分かる。泡菜やソース、ニンニクで味変しながら完食。旅の“通過儀礼”として、これは忘れにくい味だった。

最後は木瓜牛奶(パパイヤミルク)80台湾元(≒400円)。
濃厚で、夜市の余韻をやさしく丸めてくれるデザートだった。

夜市でビールを見かけなかったのも印象的だ。
公共の場で飲酒しない文化、車社会、治安――理由は一つではないだろうが、ここでは「夜市=飲む場所」ではないらしい。

 

🏨 ホテルに戻って部屋で一杯

結局、ホテルへ戻ってからコンビニで台湾ビールと紅茶を購入(79台湾元(≒400円))。
部屋で一息つく。缶のプルタブが少し開けにくいのは台湾あるあるだと思う。

 

🩵 ひとこと

夜市には二通りある。
今日の大東夜市は、地元の生活に寄り添う夜市だった。
そして明日は高雄で、もう一つの――観光夜市の方へ行ってみる予定だ。

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