院長ブログ

【台湾鉄道旅②】第3話🚄 台北から南へ 台中で出会う「鉄道の時間」

[ 公開日: 2026/1/8 ]

~高鉄で南まで振り切り、台鉄で街に降りて、旧駅で記憶を拾って台北へ戻る~

 

🌑 まだ真っ暗な台北を出る

2025年12月27日。台湾旅パート2の3日目。
まだ夜の延長みたいな時間にホテルを出た。空気はしっとりしている。台北の朝が早いというより、私が早い。今日は「移動と観察で勝つ日」だと、最初から腹を決めていた。

 

🚌 ほぼ待ちゼロのバス、そして小さなミス

ホテル前のバス停から台北駅方面へ。ほとんど待たずに乗れた。
こういう小さな幸運があると、「今日はうまくいくかもしれない」と思ってしまう。旅の怖いところだ。
ただ、降りる停留所を一つ先にしてしまい、歩く距離が少し増えた。地味だが、こういうロスはじわっと効く。
この時点でスイッチが切り替わった。今日は「歩いて稼ぐ日」ではない。体力温存で勝つ日だ。

 

🚄 高鉄06:30、距離が一気に縮む

台北06:30発の高鉄(台湾新幹線)で南下する。早朝は本数が多いわけではない。だからこそ、この一本に乗れるかどうかが、その日の流れを決める。
指定席は満席で自由席へ。それでも座れた。この“座れるかどうか”は、数時間後の集中力に直結する。
表示で追うと、台北→高鉄台中→高鉄台南→高鉄左営。数字だけ見ると地図が縮む。台湾の高鉄は、距離感覚をいったん壊してくる装置だと思う。
車内の既視感は強い。それもそのはず、JR東海の700系をマイナーチェンジした、日本製の車両なのだ。。この「頭は日本、景色は台湾」というズレが妙に面白い。

 

🍉 高鉄左営駅で駅ナカ補給

高鉄左営で駅ナカ補給。西瓜汁と、蘿蔔絲餅。
気分は上がるのに、駅の西瓜汁は少し味が違う。不思議な味、と言ったほうが近い。たぶん駅ナカは“均一化された別の飲み物”になりやすいのだろう。こういう小さな違和感も、旅の学びとして残る。

  

🚃 高鉄台中へ戻り、「生活の鉄道」に入る

高鉄左営でひと息入れてから、同じ高鉄で折り返し、高鉄台中で下車した。
ここから先は「鉄道旅だから台鉄で台中駅へ行く」という一本筋を通したかった。高鉄の世界から、台鉄(在来線)の区間車(各駅停車)へ。
車内は混んでいた。観光列車でも長距離特急でもない、生活の匂いがする鉄道。学生、通勤、日常。高鉄を降り、台鉄の台中駅へ。そこには高鉄の無機質なスピード感とは対照的な、地に足のついた『生活の音』があった。旅の写真が急に“暮らしの写真”へ切り替わる瞬間があって、私はこういう切り替わりが好きだ。

 

🏛 宮原眼科、そして第四信用合作社

台鉄台中駅から宮原眼科は近い。歩くつもりだった。
——ところが、気づけば反対方向へ。ここで引き返して消耗するより、早めに切り替えてタクシーに乗った。
宮原眼科は立派な建物で、中はオシャレにリノベーションされていた。とにかく混んでいた。観光地としての圧が強い。私は早めに切り上げ、次へ。

  

🍚 第二市場の魯肉飯と猪血湯

お昼を食べにバスで第二市場に向かった。空気が一気に“生活の食堂”になる。屋根のある通路、赤いスツールとテーブル。観光地というより、日常の胃袋の場所だ。


魯肉飯(小)65台湾元(≒330円)と、猪血湯。
魯肉飯は、甘じょっぱい肉の層が白いご飯にきれいに染み込む。派手ではないが、確実に身体に残る味。
猪血湯は、こういう場所で飲むからこそ成立する。豬血と豚(猪じゃない)の血を固めたぷるぷるしたものが、スープの中に浮かんでいる。スープにはほのかにショウガといろいろな出汁の香りがする。
もちろん、内臓系の臭味なんてない。温かいスープが、身体を現実に戻してくれる。
写真には、隣のお客さんが連れた小さな白い犬が椅子に座っている。こういう“脇役”がいると、その場の記憶が急に立体になる。

 

🍮 食後の豆花、熱糖水で締める

食後は豆花(トウファ)。
熱糖水豆花 60台湾元食後は豆花。店は「長山行(Eternal Mountain)」だった。注文したのは熱糖水豆花(ホットトウファ)60台湾元(≒300円)。豆乳を固めたスイーツ「豆花(トウファ)」を、温かい甘いスープで食べる台湾の定番で、冬だとありがたみが増す。トッピングはよく分からないまま、写真を指差して「おすすめ」に頷いたのだが、これが当たりだった。派手に甘いのではなく、静かに整う甘さ。市場の雑踏の中で、ふっと呼吸が戻る。

  

🏟 市場のあと、鉄道の時間に戻る

市場の熱気から一歩外に出ると、街はまた台中の顔に戻った。ここからは再び鉄道の時間だ。
台鉄台中駅へ戻り、旧台中駅舎へ。
赤レンガの駅舎は日本統治時代の面影を色濃く残しているが、閉じ込められた保存ではなく、イベントスペースとして人の流れがある。
この日はクレヨンしんちゃんのPRイベント。家族連れが楽しそうに写真を撮っていた。駅が交通施設である前に、街の広場になっている。

 

🚉 旧ホームに停まる「英国の貴族」EMU100型

旧駅舎の奥には、かつてのホームが残っている。そこに静かに佇んでいるのが、初代自強号として名高い**「EMU100型」**だ。
展示というより、もはや「時間が止まった聖域」。英国GEC社製ゆえに**「英国の貴族」**と称されたその気品は、冷房の吹き出し口や天井の造作、座席の配置一つひとつに今も色濃く宿っている。その場に身を置くだけで、鉄道の歴史が一段ぶん厚く、肌に伝わってくるようだ。
しかも車内は贅沢にも売店として開放されており、それもかつての**グリーン車(特別車)**という舞台設定。鉄道好きの心をあざやかに射抜く、なんとも「ずるい」演出だ。

 

🛍 古い自強号の売店で、ミニチュア12両

ここで鉄道ミニチュア車両セットを購入。12両で1,150台湾元(≒5,750円)。
私はこういう買い物を理屈でしない。「今ここで見つけた」という事実が、そのまま価値になる。台中駅の空気ごと持ち帰れることが大事だ。
(この12両はクリニックの鉄道模型コーナーに展示しました。)

 

🚄 高鉄で北へ、拠点に戻る強さ

台鉄の区間車で高鉄台中駅へ移動し、北へ戻る。指定席は売り切れだったが、自由席で座れた。
南港を経由して台北へ戻り、MRTでホテルへ。ホテルサンルート台北に戻ったのは15:49。
まだ暗いうちに出て、左営まで振り切って戻り、台中を歩き、市場で食べ、旧駅で鉄道を買って、夕方には台北にいる。数字にすると不思議な一日だ。

 

🏨 鉄道グッズを並べて、今日を整理する

部屋に戻り、買ったものをいったん全部広げる。並べると、今日の移動が自然に整理される。
午前中に高鉄台中駅で買ったグッズは合計2,020台湾元(≒10,100円)。
そこに、午後の台鉄台中駅(旧ホーム・古い自強号売店)のミニチュア12両(1,150台湾元(≒5,750円))が加わる。今日はグッズだけで合計3,170台湾元(≒15,850円)。こうして数字にすると、一日の輪郭がさらにくっきりする。
7泊同じホテルの良さは、こういう日に効く。「戻って広げて整理する」ができると、旅がもう一段深くなる。

 

🦶 そして、マッサージが引き金になった足の親指の痛み

夜の外出前、回復目的で台湾式マッサージに入った。足裏45分+肩・首15分+泡脚10分の合計70分で1,000台湾元(≒5,000円)。施術そのものの満足度は高かった。
ただしこの最中に、右足の親指に痛みが出現。施術が進むにつれ痛みは増し、赤く腫れてくるのが分かった。


店を出てから悪化が早かった。歩行がつらいレベルになり、帰り道で外用薬を買ってホテルで塗った。
この時点ではまだ「トラブルの入口」だったが、翌日に事態が大きく転ぶことになる。

 

🌙 一日を折り畳んで、明日に繋ぐ

高鉄で南まで振り切り、台中で生活の鉄道と市場の昼を掴み、旧駅と古い自強号で鉄道の記憶を回収して、夕方には台北へ戻ってきた。
街を攻略したというより、鉄道の線路の上で一日を折り畳んだのだと思う。
そして足の親指。回復のために入ったマッサージが、結果として痛みの引き金になった。旅の表情が変わる予感だけを胸に、今夜は休む。

 
 

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