舌下免疫療法は、どこで始めても同じではありません ~ミティキュアで効果不十分なときのアシテアという選択肢~
[ 公開日: 2026/7/15 ]
スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎に対して、アレルギー体質そのものの改善を目指す「舌下免疫療法」。
現在では、耳鼻科だけでなく、小児科や内科など、さまざまな医療機関で行われています。
しかし、舌下免疫療法は、どの医療機関で始めても同じではありません。
扱っている薬、効果の判定方法、効かなかったときの次の治療が、医療機関によって異なるからです。
当院や近隣では、舌下免疫療法を受けている方の多くが小学生・中学生です。そのため、お子さんを中心に説明しますが、大人の患者さんにも共通する内容です。

💊 舌下免疫療法の薬は3種類あります
現在、主に使われている舌下免疫薬は次の3種類です。
- スギ花粉症に対する「シダキュア」
- ダニによるアレルギー性鼻炎に対する「ミティキュア」
- 同じくダニによるアレルギー性鼻炎に対する「アシテア」
「舌下免疫療法を行っています」と掲げていても、3種類すべてを扱っているとは限りません。
シダキュアだけの医療機関もあれば、シダキュアとミティキュアまで、さらにアシテアまで扱う医療機関もあります。
当院では、3種類すべてを扱っています。
理由は、スギとダニの両方を治療し、さらにミティキュアの効果が十分でなかった場合にも、アシテアという次の選択肢を提案するためです。
ミティキュアとアシテアは、どちらもダニによるアレルギー性鼻炎に使う舌下免疫薬ですが、同じような薬ではありません。
1日量を比べると、ミティキュアは10,000 JAU、アシテアは57,000 JAU相当。つまりアシテアのアレルゲン量はミティキュアの約5.7倍です。
そのため当院では、ミティキュアを約1年間続けても十分な効果が得られない方には、アシテアへの変更をおすすめしています。
スギとダニの両方が原因ではありませんか
春には花粉症があり、一年を通して鼻づまり、鼻水、くしゃみ、口呼吸がある方は、スギだけでなくダニも症状の原因になっている可能性があります。
そのような方がシダキュアだけを4〜5年間続けても、ダニによる通年性アレルギー性鼻炎は治療されません。
シダキュア終了後にダニ舌下免疫療法を始めれば、治療期間が合計8〜10年になることもあります。
特に小中学生にとって、この時間は決して短くありません。
だからこそ、治療開始時にスギとダニの両方を評価し、必要に応じて並行して治療することが重要です。

🔍 効果は血液検査では判定できません
血液検査は、スギやダニが症状の原因であることを確認し、舌下免疫療法を始めるために必要です。
しかし、舌下免疫療法が効いても、特異的IgEなどの血液検査の数値が下がるものではありません。舌下免疫薬の効果や有効性を予測・判定できる血液中の指標は現時点ではないのです。
そのため当院では、
- 鼻水やくしゃみが減ったか
- 鼻づまりや口呼吸が改善したか
- 抗アレルギー薬を減らせたか
という症状に加えて、実際に鼻の中を診察し、鼻粘膜の腫れや鼻汁の状態を確認します。
ただし、「効いていない」と分かるだけでは、治療は前に進みません。
効かなかったときに、次の一手を持っているか。
ここに医療機関の差が表れます。
🧪 当院では、まずミティキュアから始めます
当院では、ダニ舌下免疫療法を始める際、原則としてミティキュアから開始します。
医薬品資料に記載された口腔内や喉の主な副反応を比べると、ミティキュアの方がアシテアより少ないためです。
実は当院院長は、アシテアの発売前に行われた臨床試験に、治験分担医師として加わっていました。
発売前の臨床試験(治験)では、原則として抗アレルギー薬を併用せずにアシテアを投与したため、口の中の腫れやかゆみ、喉や耳の違和感が高い頻度で起こることを実際に経験しています。
この経験から、現在当院では、ダニ舌下免疫療法の開始後しばらくは抗アレルギー薬を併用します。
副反応をできるだけ抑え、無理なく治療を継続できる状態へ乗せるためです。
🔄 約1年後も効果不十分なら、アシテアへ変更します
ミティキュアを始めたら、そのまま4〜5年間、機械的に処方し続けるわけではありません。
当院では、約1年後を目安に効果を評価します。
抗アレルギー薬を使わなくても症状が落ち着いていれば、そのままミティキュアを継続します。
一方で、1年以上たっても
・抗アレルギー薬が必要
・鼻水・鼻づまりが残っている
場合には、ミティキュアの効果が不十分と判断し、ダニアレルゲン量がより多いアシテアへの変更を検討します。
当院では、ミティキュアを続けても抗アレルギー薬を手放せなかった方が、アシテアへの変更後に大きく改善する例を多数経験しています。
効果が不十分と分かっている薬を何年間も続けるのではなく、次の選択肢へ進む。
これが当院のダニ舌下免疫療法です。
アシテアの長期成績
日本人患者さんを対象とした市販後調査では、アシテアによる治療4年後に、無症状または軽症の方が95.2%という良好な結果が報告されています。
これは当院独自の治療成績ではなく、日本国内で行われた市販後調査の結果です。
アシテアへの変更は、ダニ症状が比較的落ち着き、スギ・ヒノキ花粉の飛散も終わっている5〜6月が理想です。7月以降でも、症状と鼻の状態が安定していれば、患者さんごとに判断します。
🎯 ゴールは、抗アレルギー薬なしで過ごすことです
ミティキュアからアシテアへ変更した場合も、治療期間を最初から数え直すことはしません。
両方の治療期間を通算して、当院では原則4年以上、できれば5年間の治療をおすすめしています。
そして、治療のゴールは、舌下錠を決められた年数飲み終えることではありません。
抗アレルギー薬を使わなくても、症状が落ち着いている状態を目指すことです。
舌下免疫療法を続けているのに、抗アレルギー薬が必要な状態が続いているなら、本当に十分な効果が出ているのかを見直す必要があります。
また、舌下免疫療法を行っても鼻づまりなどが残ることがあります。
鼻症状が強い中学生以上の患者さんには、当院では鼻粘膜のレーザー治療も提案しています。
舌下免疫薬だけで、すべてを解決しようとするのではありません。
症状が残っているなら、次の治療へ進みます。

🚂 舌下免疫療法は、どこで始めるかが大切です
大切なのは、小児科か耳鼻科かという診療科の違いではありません。
耳鼻科であっても小児科であっても、扱っている舌下免疫薬が限られていれば、効果が不十分だったときに薬剤を変更できず、鼻づまりが残った場合の追加治療まで提案できないことがあります。
舌下免疫療法を処方できる医療機関と、効果が不十分だったときまで含めて治療を組み立てられる医療機関は、同じではありません。
当院では、シダキュア・ミティキュア・アシテアの3種類を扱い、スギとダニの両方を評価します。
症状だけでなく実際の鼻の状態も確認し、ミティキュアで効果が不十分な場合にはアシテアへの変更を検討します。鼻づまりが残る中学生以上の方には、レーザー治療も提案します。
そして最終的には、抗アレルギー薬を使わなくても症状が落ち着いている状態を目指します。
舌下免疫療法は、4〜5年間続ける長期治療です。
だからこそ、治療を始める医療機関は、薬を処方できるかだけでなく、効果が不十分だったときの次の一手まで考えて選んでいただきたいと思います。
舌下免疫療法は、どこで始めても同じではありません。 😊🚂

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