【台湾鉄道旅③】第3話♨️北投温泉を歩き、夜は楽天桃園球場へ
[ 公開日: 2026/10/10 ]
2026年9月22日(火)。
台湾3日目。
前日は、平渓線、菁桐、九份、基隆と、朝から夜までかなりよく歩いた。
そこで今日は、少しゆっくり目に。
午前中は北投温泉へ行き、温泉街を歩いて、どこかで実際に温泉にも入ってみる。
そして夜は桃園へ移動し、楽天モンキーズのホームゲームを見る予定だ。
昨日とはかなり違う一日になりそうだった。
🚇 朝のMRTで北投へ
ホテルを出て、MRT淡水信義線で北投へ向かう。
朝の台北から郊外方向へ向かうので、もっと空いているかと思っていたが、意外と車内は混んでいた。
士林、芝山、石牌、北投方面にも住宅地や学校、病院、商業施設があり、北へ向かう人の流れもかなりあるようだ。
途中の芝山駅でようやく座れた。
車窓を見ると、駅の近くにはSOGOもある。
このあたりは単なる「台北の郊外」というより、まとまった生活圏になっているらしい。
観光で歩く西門町や中山、信義だけではない。
MRTに乗っていると、観光客があまり歩かない「生活の台北」が少し見えてくる。
🚇 台北MRTにひとつ改善提案(笑)

そして、またひとつ気になった。
淡水信義線は赤線である。
路線図でも赤。
駅の案内も赤。
ならば、列車の車体にも赤い帯くらい入れてほしい(笑)。
せっかく路線ごとに色分けしているのに、ホームへ来た列車の外観はその色と一致しない。
初めて乗る旅行者なら、
「これ、本当に赤線の電車?」
と一瞬思う。
赤線なら赤帯。
青線なら青帯。
それでいいではないか。
わざわざ色分けしているのに、最後の最後だけ一致させない。
ちょっとした嫌がらせである(笑)。
♨️ 北投から新北投へ
北投駅で淡水信義線を降り、新北投支線へ乗り換える。
ここまで来ると、普通の都市鉄道から、少しずつ温泉地へのアクセス路線らしい雰囲気に変わってくる。
新北投駅に到着。

まず向かうのは温泉街ではなく、硫磺谷。
当初はタクシーで行こうと思っていた。
ところがGoogleマップを見ると、ちょうど小26のバスが来そうだった。
それなら、バスで行ってみよう。
🚌 偶然、無料だった山行きバス

新北投駅前から、黄色い小型バスの小26に乗る。
この日は偶然にも9月22日「国際無車日」。
台北市・新北市の市バスが無料になる日で、小26も運賃0元だった。
Googleマップでは15元と表示されていたのに、実際には無料。
知らずに乗ったので、台湾からちょっとしたサービスを受けたような気分だった。

バスは温泉街を抜け、山側へぐんぐん上がっていく。
数分で硫磺谷近くへ。
🌋 硫磺谷を歩く
バスを降り、硫磺谷へ。
最初に見えたのは、緑がかった湯だまりと、白っぽくむき出しになった斜面。
あちこちから蒸気が上がっている。

観光温泉地というより、地面そのものがまだ活動しているような景色だった。
ここは昔、硫黄採掘が行われていた場所でもある。
解説板には、硫黄を含む土を大鍋で煮て、竹竿でかき混ぜながら硫黄を分離していたという説明もあった。
単なる温泉の源泉ではなく、火山地形と温泉、そして硫黄採掘の歴史が重なっている。
足湯の周辺には、地元の人らしい利用者がかなりいた。

ところが、そこからさらに奥へ進む人はほとんどいない。
そのまま上の方まで登っていくと、灰白色の地面のあちこちから蒸気が噴き上がり、白濁した湯だまりも見えてくる。
そして、いつの間にか周囲には誰もいなくなった。

足湯までは日常の温泉地。
そこから先は、急に地熱地帯そのものになる。
こちらとしては、こういう誰も来ない場所の方がむしろ面白い(笑)。
上から見下ろすと、谷全体に噴気が広がっているのがよく分かる。
硫磺谷は、ただ温泉が湧いている場所ではなく、地下の熱を人間がどう利用してきたかまで見える場所だった。
👕 着替えを忘れた
硫磺谷の上の方まで歩いているうちに、かなり汗をかいた。
このあと温泉に入る予定なので、湯上がりには着替えたい。
……そこで気づいた。
着替えをホテルに置いてきた。
完全に失敗(笑)。
せっかく温泉に入って汗を流しても、そのあとまた汗を吸ったシャツを着るのは、どうにも気分がよくない。
仕方がない。
新北投へ戻ったら、どこかでTシャツを買うことにした。
🚌 バスで温泉街へ戻る
硫磺谷から温泉街まで歩いて下ることも考えた。
ただ、前日もかなり歩いているし、この日は夜に桃園まで野球を見に行く予定。
ここで無理をする必要はない。
バス停を見ると、ちょうど小9区間車が来そうだったので、そのまま乗って新北投方面へ戻ることにした。

👕 まずは着替えを確保
新北投駅近くへ戻り、まずはTシャツ探し。
温泉街のど真ん中には衣料品店がそれほど多くないので、駅近くのドラッグストアに入った。
目的は着替えだったのだが、店内には観光土産も並んでいる。
そこで、前日に訪れた十分や九份、平渓線などのキーホルダーやマグネットも購入。
結局、
着替え調達+前日の旅のお土産。
これでようやく、安心して温泉に入れる(笑)。

🌳 北投公園へ

買い物を終え、そのまま北投公園へ。
駅のすぐ近くなのに、公園へ入ると一気に緑が濃くなる。

途中には北投図書館。
大きな木造風の建物で、周囲の緑によくなじんでいる。
今回は外観だけ見て、その先の北投温泉博物館へ向かった。
🏛️ 北投温泉博物館へ

北投図書館のすぐ近くに、北投温泉博物館がある。
外観は、木造と赤レンガが混ざる和洋折衷。
瓦屋根と赤レンガの煙突が印象的で、日本統治時代の温泉施設らしい雰囲気が残っている。
ここは1913年に造られた公共浴場を修復した建物。

入口で靴を脱いで上がる。
かつて実際に使われていた温泉施設そのものが、現在は博物館として公開されている。

🏛️ 北投温泉博物館の中へ
館内に入ると、まず目に入るのが広い畳敷きの大広間。
木の天井に畳、外には緑が見える。
入浴後に休んだり、談笑したりした場所だったのだろう。
日本の昔の温泉旅館を思わせる空間だ。

館内では、北投温泉の歴史や、この地域がどのように温泉地として発展してきたかも紹介されていた。
日本統治時代に公共浴場や公園、鉄道、旅館などが整備され、北投は一大温泉地へと発展した。
戦後も賑わったが、その後は衰退し、この建物も一時は荒れていた。
その後、地域の保存活動によって修復され、現在は博物館として公開されている。
そして1階へ下りると、昔の浴場がそのまま残っている。
特に印象的だったのが大浴場。
大きな長方形の浴槽を、石柱と連続するアーチが囲んでいる。
日本の昔ながらの銭湯とはかなり違い、どこかローマ浴場のような雰囲気。
温泉施設でありながら、かなり洋風の造りである。
昔はここに大勢の人が実際に入浴していた。
浴槽の前に立つと、当時の賑わいを少し想像できる。
ここは北投温泉博物館の中でも、特に印象に残った場所だった。

🌋 地熱谷へ
北投温泉博物館を見終えたあと、地熱谷へ向かった。
青緑色の温泉が湯気を上げている。
池の周囲を歩きながら、湯気の出る場所や温泉の色を眺める。

途中、地熱で温められている石に腰掛けてみると、これがかなり温かい。
「天然の岩盤浴」である。
温泉に入っているわけではないのに、地面から伝わる熱を身体で感じる。
地熱谷という名前の通り、温泉が「湧いている」というより、大地そのものが熱を持っていた。

♨️ 加賀屋か、瀧乃湯か
地熱谷を見たあと、少し迷った。
近くには日勝生加賀屋がある。
台湾の高級温泉ホテルとして有名だし、ここでゆっくり入浴するのも悪くない。
ただ、日本から来て、台湾で日本式の高級温泉旅館に入る。
それよりも、せっかく北投まで来たのなら、もっと昔ながらの温泉に入ってみたい。
そこで選んだのが、瀧乃湯。
♨️ 昔ながらの瀧乃湯へ

瀧乃湯は、
日本統治時代の1907年頃に開業した、現存する台湾最古の日本式共同浴場だ。
豪華なホテルスパとは正反対で、かなり素朴な雰囲気だった。
でも、今回入りたかったのは、むしろこちら。
水着を着て入る温泉プールではなく、男女別で裸で入る。
お湯はかなり熱めで、肌に少しピリッとくる独特の浴感。
見て歩くだけでは分からなかった北投の温泉を、ようやく身体でも感じることができた。

豪華さなら加賀屋。
でも旅の記憶として残りそうなのは、こちらだと思った。
朝から硫磺谷を歩き、温泉博物館で昔の浴場を見て、地熱谷で大地の熱を感じる。
そして最後に、自分でも実際に温泉へ入る。
ここでようやく、「見る北投」から「入る北投」になった。
🚉 温泉の最後に、旧新北投駅へ
瀧乃湯を出たあとは、坂を下りながら新北投駅方面へ戻る。
そして最後に立ち寄ったのが、旧新北投駅。
現在のMRT新北投駅とは別に、昔の木造駅舎が保存されている。

駅舎の前には線路が残り、青い旧型客車も保存されていた。
この日は修繕工事中で、残念ながら車内には入れなかった。
それでも、温泉地を歩いた最後に昔の鉄道へ戻ってきたのは、この旅らしい。
昨日は平渓線で現役のローカル線を一日中追いかけていた。
今日は役目を終えた温泉鉄道の跡に立っている。
台湾旅行、結局どこへ行っても鉄道から逃れられない(笑)。

♨️ 北投を歩いてみると
振り返ってみると、この日の北投散策は、
硫磺谷で温泉の源を見る。
温泉博物館で温泉文化を見る。
地熱谷で大地の熱を感じる。
瀧乃湯で実際に温泉へ入る。
そして旧新北投駅で、かつて人々を温泉へ運んだ鉄道を見る。
温泉そのものから、温泉文化、そして鉄道まで。
結果的に、北投という温泉地を一通り歩いて見たような午前中になった。
ここで13時すぎ。
思っていた以上に充実した北投散歩だった。
🍚 ホテルへ戻って、黄記魯肉飯
北投をあとにし、いったんホテルへ戻ることにした。
午前中はかなり歩き、温泉にも入った。
今日は夜に桃園まで野球を見に行く予定なので、ここで少し休んでおきたい。
ホテルへ戻る前に、昼食を買うためホテル近くの黄記魯肉飯へ。
ここへ来るのは今回で3度目。
すっかりお気に入りの店になっている(笑)。
これまでの黄記魯肉飯はこちら。
▶ 【台湾鉄道旅②】第4話🩹足の親指が旅のリズムを変えた日|黄記魯肉飯・1回目
▶ 【台湾鉄道旅②】第6話🚃雨の日はローカル線がちょうどいい|黄記魯肉飯・2回目

今回も店内ではなく、ホテルへ持ち帰ることにした。
注文したのは、
蹄膀便當、赤肉焿、焢肉、魯白菜、滷蛋。
合計360元(≒1800円)。
少し多いが、
「余ってもいいから、気になるものをまとめて食べてみよう」
ということで注文(笑)。

🍺 部屋で小さな昼宴会
ホテルへ戻って袋を開けると、かなり豪華な昼食になった。
大きな蹄膀に焢肉、魯白菜、赤肉焿、滷蛋。
ところが、ここで気づく。
割り箸がない。
完全にうっかり(笑)。
仕方なくフロントへ行って割り箸をもらい、ようやく昼食開始。
ビールを開け、蹄膀をつまみ、魯白菜を挟み、今度は焢肉。
普通の昼食というより、台湾のおかずを並べた小さな宴会になった。
午前中は北投を歩き回り、温泉に入り、午後はいったんホテルでビール。
こういう「何もしない時間」を旅の途中に入れるのも悪くない。

食べ終わったのは15時ごろ。
そろそろ夜の部へ。
🚄 台湾新幹線で桃園へ
ホテルでひと休みしたあと、夕方になって再び出発。
今日の夜は、桃園で楽天モンキーズの試合を見る。
台北駅から台湾高鉄(台湾新幹線)に乗り、桃園へ向かった。

台北から桃園までは、わずか20分ほど。
昨日まで在来線やローカル線を乗り歩いていたので、今日は一転して高速鉄道である。
台湾は、都市鉄道、ローカル線、高速鉄道と、移動するたびに鉄道の表情が変わるのが面白い。
桃園駅に到着したあとは、桃園空港MRTへ乗り換える。

高鉄桃園駅から一駅先の「桃園体育園区駅」で下車。
駅名からして、もう目的地そのもの(笑)。

🏟️ 楽天桃園野球場へ

桃園体育園区駅を出ると、楽天桃園野球場はすぐ近く。
球場に着いたのは夕方で、まだ空には明るさが残っていた。
初日に訪れた台北ドームとは、雰囲気がまったく違う。
台北ドームは巨大な屋内球場だったが、こちらは郊外にある開放的な屋外球場。
スタンドの向こうには空が広がり、照明塔が立っている。
時間がたつにつれて少しずつ空が暗くなり、球場の照明が目立ってくる。
こういう夕方から夜への変化を感じられるのは、屋外球場ならではだ。
球場の外周には楽天モンキーズのロゴやマスコット、選手やチアのビジュアルが並び、試合前からホーム球場らしい雰囲気がある。

場内へ入り、席へ。
内野側の中段付近で、グラウンド全体を見渡しやすい。
こちらはもっと素朴に、
「野球場に来た」
という感じが強かった。

⚾️ 楽天モンキーズ vs 台鋼ホークス
この日の対戦は、
楽天モンキーズ vs 台鋼ホークス。
2回表、台鋼が1点を先制。
ところが、その裏に楽天打線が一気に爆発した。
まず馬傑森がホームラン。
すると続く林承飛もホームラン。
まさかの2者連続ホームラン。
ホームランが出るたびに、外野の向こうには花火が上がる。
夕暮れの屋外球場に花火。
これは盛り上がらないわけがない(笑)。
この回、楽天は打者一巡の猛攻で一挙5得点。
一気に、
楽天 5
台鋼 1
となった。

「今日は楽天の快勝かな」
と思ったのだが、そう簡単には終わらない。
3回には、日本出身の永田颯太郎が2ランホームランを放ち、5対3。
その後、楽天は7回に馬傑森のタイムリーヒットで1点を追加して6対3。
そして9回。
元日本ハムの王柏融が2ランホームラン。
日本にも縁のある選手たちの一発で、とうとう1点差まで迫られた。
最終的には、
楽天モンキーズ 6
台鋼ホークス 5
楽天がなんとか逃げ切った。

🎺 球場全体で盛り上がる応援
楽天モンキーズの攻撃になると、スタンドは一気に賑やかになる。
応援歌に合わせて観客が声を出し、グラウンド脇ではチアも応援を盛り上げる。
台湾プロ野球では、応援そのものが大きな見どころの一つになっている。
桃園は球場全体の距離が近く、スタンドとグラウンドの間に壁を感じにくい。
応援の熱気が、そのまま球場全体に広がっていくような感じがある。

試合中には、楽天の赤いマスコットも客席へ。
普通にスタンドの階段を上り、観客とハイタッチをしたり、写真を撮ったりしている。
選手だけでなく、応援やマスコットまで含めて、ホームゲーム全体を楽しませようとしているのがよく分かる。

🎉 試合が終わっても、まだ終わらない
6対5で楽天が勝利。
ところが、試合終了の瞬間にすぐ帰る人ばかりではない。
グラウンドでは選手たちが集まり、勝利セレモニーが始まる。
チアやマスコットも加わり、観客もかなり残っている。
野球が終わったら終了、ではなく、
試合 → 勝利セレモニー → ファンサービス
までが一つのホームゲームなのだろう。
台湾プロ野球の楽しみ方を、また一つ知った気がした。

🌙 帰りは空港MRTで台北へ
試合後、桃園体育園区駅から空港MRTへ。
時刻は21時台。
翌朝も早いので、できるだけ楽にホテルへ戻りたい。
まずは各駅停車に乗車。
当初は高鉄桃園駅で台湾新幹線へ乗り換えることも考えていたが、すでに座ることができたので、そのまま空港方面へ向かった。
そして空港第2ターミナル駅で直達車へ乗り換える。
直達車の方が速く、座席も各駅停車とは少し違っていて、長く乗るならこちらの方が快適。
夜の帰り道は、少しでも楽な方がありがたい(笑)。
朝はMRTで北投へ。
夕方は台湾新幹線で桃園へ。
夜は空港MRTで台北へ。
この日も最後まで、しっかり鉄道旅だった。
♨️⚾️ 温泉と野球の一日
朝は、
「今日は少しゆっくり目に」
と思っていた。
……どこがだろう(笑)。
午前中は北投の温泉街を歩き、実際に温泉にも入った。
午後はいったんホテルへ戻り、黄記魯肉飯とビールでひと休み。
そして夕方からは台湾新幹線で桃園へ。
楽天桃園野球場では、2者連続ホームランに花火。
最後は6対5で楽天モンキーズが逃げ切った。
振り返ってみれば、
昼は温泉、夜は野球。
ずいぶん欲張りな一日だった。
前日の台北ドームとはまったく違う、開放的な屋外球場も面白かったし、北投では温泉地そのものの歴史や文化を歩いて見ることができた。
昨日は山と海を鉄道でつないだ一日。
今日は温泉と野球を鉄道でつないだ一日。
結局この日も、よく歩き、よく乗り、よく遊んだ。
台湾3日目も終了。
旅はまだ続く。


